「…こんな時間になんでがここにいるんだ?」

ルルーシュがいつも通り、遅くにナナリーや咲世子さんがいる 自分の家(クラブハウス)に帰ってきたときのことだった。

そこにはいつもと同じで、ナナリーと咲世子さんが楽しそうに話でもしているのだろうと思っていた。
だが、今日は違う。
何故か、従兄妹であり、幼馴染であり、想い人であるの姿があったのだ。
3人で楽しそうに話している。

「む…ルル、私がいたらだめなの?」

「そういうわけじゃ…」

ルルーシュにとってがいることはむしろ嬉しい。
ここで一緒に暮らしたいと思うほどだ。
だが、聞きたいのはそういう意味ではない。

「私が、呼んだんです。さんとお久しぶりにお話がしたくなって…お兄様、だめでしたでしょうか?」

シュンとなるナナリー。
そんな妹を見てすかさずルルーシュは言った。

「だめなわけないだろ?ナナリーはのことが好きだもんな」

「はい♪」

ナナリーはルルーシュの言葉を聞いて嬉しいそうに微笑む。
さすがはルルーシュ、妹の悲しむ顔は見たくはない。

それに、ナナリーのおかげで何故彼女がこの家にいるのかもわかった。
しかし、こんな遅くまでいて、しかも天気も崩れそうなそんな中、家に帰るのは危ないだろうとルルーシュは思う。
もう日付が変わろうとしている時間なのだから…。

…こんな遅くまで大丈夫なのか?」

心配になって聞くことにした。
しかし、次の言葉でルルーシュは驚くはめになる…。

「私今日ここに泊まるよ?」









アナタがいれば











「泊まり…?」

「うん、そうだよ!…ルルってそんなに私にいてほしくないの?」

ルルーシュが泊まることに対して喜んでいないのを見てむっとくる。
幼馴染が泊まるんだから喜んでくれてもいいんじゃないかと思う。

「いや、ホントそういうことじゃ」

「ナナリー大好きなルルにとっては私はお邪魔虫だもんねぇ」

はフイッとルルーシュからそっぽを向く。
不謹慎かもしれないが、ルルーシュはそんな彼女を可愛いなぁと思って見ていた。

「私はさんのこと大好きですよ」

「ナナリー…嬉しい、ありがとう!」

はナナリーをぎゅぅっと抱き締める。
それを見て妹が羨ましいと思ってしまったルルーシュだった。










その日はもう遅かったため、みんな寝ることにした。

ルルーシュは遅く帰ってきたせいでとあまり話ができなかった。
なので、明日は学校も休みだし明日いっぱい話そうと考えていた。



―ゴロゴロゴロ―

空が鳴った。
ルルーシュは窓から空を見上げる。
月明かりを隠し、夜の暗さを一層暗くさせる雨雲が広がっていた。
ときどき稲妻が走っているのがわかる。

「今夜は雨か…」

ルルーシュがそう言ったとき、ふっと頭の中で何かを思い出した。
幼い頃のことだ…。





ってやっぱり苦手なものとかないの?』

『ぅ?あるよ??』

『ぇっ…それって何?』

『なんでそんなこと聞くの?』

『ちょっと気になって』

『ふぅん…私の苦手なものは、ルルやナナリー、大好きなみんながいなくなることだよ!』

『…他にはないの?』

『他??ぅ〜ん…雷とか……嫌いだな』

『え、雷?』

『ぅん…だって、ドーンっていうあの音とか、自分のところに落ちてきたら怖くない?』





ルルーシュは慌てて自分の部屋から飛び出していった。
のいる部屋へと…。





―ゴロゴロ…ピカッ!……ドーン!!!―

「ひゃぁっ!!」

は布団の中で耳を押さえながら震えていた。
その真紅の瞳にはいっぱいの涙が溜まっていた。

「怖いよ…」

雷の音も、光も、雷のすべてが嫌いだった。
小さい頃よくテレビで雷の落ちた映像とか見たせいで雷が怖くなったのだ。
大きくなってもその気持ちは変わらない。

目を閉じても、耳を塞いでも、雷の光や音がわかってしまう。



―ゴロゴロゴロ…―

そしてまた空が鳴る。
が、くると身構えたときだった。



っ!!」

バンッと勢いよく部屋のドアの開く音がした。
そこから聞こえてくる声はよく知った声で、その声を聞いて少し落ちついた感じがする。

「ルルぅ…」

は布団から顔を少し覗かせた。
そんな彼女の声を聞いて慌てて駆け寄った。
暗くて顔はよくわからなかったが、だんだん暗闇に目が慣れてきて彼女の顔がわかってくる。
の瞳は涙でいっぱいだった。

…大丈夫か」

「怖ぃ…」

―ピカッ!…ドーン!!!―

「いやぁっ!」

先ほどより近くなった雷に恐怖を感じ、布団から出ては咄嗟にルルーシュに抱きついてしまった。

「ルルぅ…怖ぃょ……」

ルルーシュの胸に泣きながら抱き縋る。
そんなをルルーシュは優しく抱き締めた。

、大丈夫だ…オレがずっと傍にいるから……」

大切に、大切にぎゅっとを抱き締める。
そのルルーシュから伝わる優しさ、暖かさにはほっとやすらぐ。










そして暫くして雷は止み、雨だけが降っていた。

「雷…止んだみたいだな」

「…うん」

も段々落ち着いてきた。
そして落ち着いてやっと今の自分の状態に気付いた。
ルルーシュの胸に顔を埋め、抱きつき、抱き締められている状態に…。
一気に顔が熱くなるのがわかった。



「ぁっ!ルル、ごめんっ」

慌ててルルーシュから離れようとするが、ルルーシュがそれを許してくれなかった。
先ほどより強く抱き締められ離れようにも離れられない。

「ル、ルル??」

「ん?」

「…離して??」

「やだ」

子供っぽくそういうルルーシュは珍しかった。
だが、恥ずかしさのあまり耐えられないは、今すぐにでも離れたかった。

「なんで?」

「お前を放したくないから」

その言葉により一層顔を紅くする。
自身、ルルーシュに抱き締められるのは嫌ではなかった。
むしろ安心して、心地よい感じがする。
先ほどだって、ルルーシュのおかげで雷が鳴ってたのにもかかわらず大丈夫だったし…。










…オレはお前が好きだ…だから放したくない」










耳元で囁くルルーシュのいきなりその言葉にはびっくりする。

「ぇ…」

「聞こえなかったのか?…オレはお前が好きだと言ったんだ」

もう一度同じ言葉を言う。
は固まっていたが、その言葉の意味を段々理解していき、顔がこれでもかというくらい真っ赤になる。
ルルーシュは抱き締めながら片手での顎を持ち上げ、瞳を合わせさせる。
の真っ赤な顔を見てルルーシュは微笑んだ。

、可愛い」

「かっ、からかわないでよっ」

サラリと可愛いと言われて恥ずかしくなる。

「オレが冗談でこんなこと言わないの知ってるだろ」

そう言って不適な笑みを浮かべた。

「っ…ルルのイジワル」

「イジワルで結構だ…そういえば、の気持ちを聞いてなかったな」

「…聞かなくてもわかってるくせに」

長年の付き合いだ。
好きでもない人とこんなことしないということはお互いわかっている。

「オレは人の気持ちなんてわからないからな」

「イ…イジワルぅ……」

「だから、イジワルで結構だと言ったろ」

ルルーシュが「早く言ってほしい」と目で訴えてるのがわかる。
は観念したかのように渋々ルルーシュの耳元に顔を近づける。
そしてそっと囁いた…。









「…大好き」










その言葉を聞いてルルーシュは満足したようで満面の笑みを浮かべていた。

「よくできました」

ルルーシュはそう言うと、の細い二の腕を掴んで顔を自分の前に引き寄せた。
そしてそのまま流れるままに二人は口付けをした。

「んっ………」

最初は触れるだけのキスだったが、それは段々深いものへと変わっていった。

「っ…ふぁ………んぅ……」

これ以上続けると愛しい人が窒息しかねない、そう思ったルルーシュは唇を一端離した。

の目はトロンとしていた。
その表情が愛おしくてたまらなかった。



「愛しているよ…



そして再びに口付けをした。

深く、暖かく優しい甘いキスを……。






































あとがき

 ルル短編4作品目です。
 クサイ…クサイ気がする。

 実は連載主人公は雷が苦手なんです。
 他にも苦手あると思いますけど…。

 それにしても…雷の音ショボイ↓
 最近雷聞いてない気がします。
 なのでうろ覚えで…。
 もっと勉強せねば。w

 咲世子さん名前だけの登場で…。
 ちょっと入れにくいですね…。
 ニーナとは違う意味で。
 彼女は彼女で結構奥深いキャラじゃないですか?
 ディートハルトと知り合いとか…。
 だから変につっこめないというかなんというか。w

 ではでは、ここまで付き合っていただきありがとうございます。
 恒例のチョコっとオマケが下に…。
 主人公大好きナナリーのお話です。w
  -----20070326-----












































―オマケ―

さん、昨晩は大丈夫でした?」

次の日の朝、ナナリーが雷嫌いのが心配で聞いてきた。

「あ、うん!心配かけちゃったみたいだね…でも、心配してくれてありがとね、ナナリー」

心配かけてごめんねと言うより、心配してくれてありがとうと言った方がナナリーが喜ぶことを知っていてそう言った。
自身、ごめんと言われるよりありがとうと言われるほうが嬉しいと思うからだ。
そして、思った通りナナリーは嬉しそうな顔をしていた。

「それにしても、ルルやナナリーよく私が雷苦手ってこと覚えてたね」

「まぁ…な」

「あの頃のお兄様はさんにチェスで負けてたから…」

「っナナリー」

「?」

ルルーシュによってナナリーの言葉が途中で切れて、最後まで聞くことができなかった。



「それにしても嬉しいです。私、さんのようなお姉さまが欲しかったんです」

ナナリーのその言葉に2人はびっくりする。

「ナ、ナナリー。どうしてそれを」

「ふふ、見えてなくても空気でわかるんです♪」

ナナリーには敵わないと2人は強くそう思った。






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