「ルルーシュ、お前、何座?」
「・・・いて座、だ」
唐突なリヴァルの発言にも狼狽える事なく、むしろ慣れているのかさらりと返しているのは学園中の人気者、
ルルーシュ・ランペルージだった。
ふむふむと隣でメモっている彼の事を見向きもせず、冷静に本のページをめくっていた。
「あーあ、お前、今日恋愛運最悪だぜ」
「は?」
さすがのルルーシュも本から興味をなくした。恋愛運最悪?ちょっと、聞き捨てならない事だ。
とくに、最近やっと片思いも実ったところだというのに。
「えっと、恋人に浮気の疑惑あり、喧嘩になるかもだとさ〜!あ、運気回復のラッキーアイテムは、と」
「というかお前、何読んでるんだ」
つらつらと並べる彼の手元を見、ルルーシュは訝しげに眉をひそめた。
「え?星座占いだよ〜シャーリーが面白いから読んでみなって」
占い・・・そんなもの、高校生にもなって信じるなよ、と内心舌打ちしながらルルーシュは本へと意識を戻した。
だが、直後目を疑う光景を目の当たりにすることになる。
星座占いの落とし穴
「ルルーシュ!リヴァル!おっはよ〜vv」
「あぁ、おは・・・」
聞き覚えのある声がし、挨拶を返そうとその声がした方を見る、が。
「!?・・・・・・か?」
何故彼女は紫の眼鏡をかけて、髪の毛をブラウンに染めているのだろう。
「うん?そだよ〜?変なルルーシュっ」
変なのはお前だともう少しで言いそうになったのを慌てて制し、コホン、と一つ咳払いをする。
そして、とりあえず彼女に事の成り行きを説明してもらおうと口を開いた。
「なぁ、・・・」
「お、!お前もしかして牡牛座?」
「あっは〜その通り!あ、リヴァルもそれ読んでんの!?」
ルルーシュの口が開く前にリヴァルによって遮られてしまった。そしていつの間にか二人きりの会話になっている。
おいおいおい・・・恋人の俺を差し置いて!!!!
見るからに不機嫌なルルーシュに気づくこともなく二人は語っていた。
「ちゃーんとラッキーアイテムまでつけてんじゃん」
「そーそー!この色の眼鏡とこのウィッグ探すの大変だったんだ〜」
どうやら、の格好は今日のラッキーアイテムなどを取り付けたものらしい。
なるほどと納得しながらも、彼女が気にするほどの占いだ。
先ほどのリヴァルの言葉を思い出す。
『恋人に浮気の疑惑あり、喧嘩になるかもだとさ〜!』
そこまで考えて、はっとする。
まさか。が浮気などするはずがない。今の状態で満足してるはずだ。
ん?もっと激しい方がよかったのか・・・!?いやいや・・・
ぶんぶんと浮かんだ妄想をかき消すように頭を振る。それをとリヴァルは不思議そうに見ていた。
放課後、生徒会室はの格好と星座占いの話で盛り上がっていた。
「会長は何座ですか?」
「んーとねぇ〜獅子座!」
「獅子座は〜・・・」
てんやわんやと盛り上がってる中、ルルーシュはを見ながら考え込んでいた。
いったい牡牛座のところには何が書かれていたのだろうと。ラッキーアイテムはともかく、気になったのだ。
「なぁ、」
「あ!スザクは何座?」
「僕?僕はかに座だよ」
「かに座・・・ね!今日のかに座はぁ〜」
聞けよ!!とつっこみたくなるほどあっけなくスルーされた。それがまた、腹立たしい。
ルルーシュはますます不機嫌になりながら、早くこの時間が終わってほしいと切実に願った。
「ルルーシュ〜?どうしたの??」
生徒会も終わり、帰路につこうと鞄を持ち生徒会室を出ようとするとが心配そうに、そしてどこか寂しそうに声をかけてきた。
ルルーシュはどきりとなる心臓の音を無視して、振り返る。
「・・・どうしたって・・・何が?」
「だってちっともこっち見ないし・・・それに話しかけてこないんだもの」
些か不満そうに彼女は口を尖らす。そんな姿も可愛いなどと思いながらルルーシュは嬉しそうに目を細めた。
「あぁ・・・ちょっとボーッとしてただけだよ」
「そう?よかった」
にっこりと笑みを返され不覚にも顔が赤くなる。
「ところで一緒に帰らないか」
一緒に帰る、といってもはルルーシュと同じクラブハウスに住んでいる。
しかし、少しでもバカップルを満喫したいルルーシュにとっては、少しの距離でも一緒に歩きたいものだった。
「あっ・・・ごめん、ルルーシュ。今日はちょっと・・・」
「どうかしたのか?」
どこか慌てたような彼女の態度に嫌な予感を募らせながらルルーシュは尋ねる。
「いや、別に・・・ちょっと約束があって」
「約束・・・」
・・・!!まさかっ!
「う、浮気・・・か!?」
思わず口をついて出た言葉。
「は?」
はわけが分からず、そしてルルーシュが顔を強ばらせている理由もわからず、ただただ呆然と立ち尽くす。
一人漫才でもやっているのかとルルーシュの事を少々危ない目で見はじめる。
ルルーシュはしばらく頭を抱え込み、ぶつぶつと呟いていたが、突然ガバッとの肩をつかんだ。
その肩をつかむ力が意外にも強くて、は思わず顔をしかめる。
「あ、ぁあ、相手は誰だ!?スザクか!?リヴァルか!?それとも・・・!」
「待って、落ち着いてルルーシュ!いったい何の事!?」
初めて見る彼の狼狽えっぷりを心の中ではおもしろいと賞賛しながら、はルルーシュを止める。
ていうか、浮気ってどうゆうこと・・・!?
「おぉお、お前はっっ!浮気相手を庇うのか!?恋人の俺ではなく?」
顔面蒼白なルルーシュは、もう誰に求められないほど取り乱す。いつものポーカーフェイスはどこに言ったのかと思う。
「はぁ!?だから浮気なんて意味わかんなっ・・・んむぐぅっ!!」
最後まで言い終わる事ができず、の口から漏れたそれは言葉とならず彼の唇の中へと消えた。
「ふぅ・・・ん、はぁっ・・・ん〜〜〜っ!!!」
角度を変えては貪るようなそれに息が続かない。しかしルルーシュは止めようとしない。
「ぁっ・・・や、ん、ふっ・・・」
舌を絡めようと口内を割って入ってくるルルーシュ。はその意図に気づき、思わずルルーシュの舌を噛んだ。
「・・・!ぷはっ・・・いきなり何するの!?」
突然のキスに恥ずかしくなり、自分の唇がそんなに簡単に奪われた事が悔しくては怒鳴った。
・・・傍から見ればれっきとした照れ隠しにしか見えなかったが。
「お前は俺のものだろう・・・?誰にも渡さない!!」
ルルーシュはを抱きしめる。がっしりと閉じ込めるように強く。
「・・・はぁっ、はぁ・・・何言ってるの?ルルーシュ」
「お前がスザクを好きでも、他の男を好きでも・・・お前はっ・・・は俺のものだ!!!」
これは後ほどルルーシュが穴掘って入りたいと赤面し、
封印した恥ずかしい台詞として永久にの心に刻まれる事になるのだが・・・
はポカンと口を開いていたが、しばらくするとため息をつきやれやれと肩を顰めた。
「・・・ルルーシュ。私ルルーシュの彼女なのよ?どうしてスザクや他の男の事なんか好きにならなくちゃいけないの」
ルルーシュの事が好きだったから。告白されたときも、嬉しくて嬉しくて本当に泣きそうなぐらい嬉しかったのに。
一生分の幸せを使ってしまったと思った。
だからそんなに不安にされると困る。どちらかというとルルーシュの方が心配だ。
「・・・本当に浮気してないんだな?」
「してないってば!ルルーシュの馬鹿ッッッ!!!」
そう言って否定すれば彼はほっとしたように、そしてどこか顔を赤く染めずるずると座り込んだ。
「・・・よかった」
「・・・馬鹿なルルーシュ」
私が貴方以外に惚れるわけないじゃない。
はそう言ってにっこりと微笑みながらルルーシュの隣に座り込んだ。
占いが当たるとか当たらないとか、信じるか信じないかは自由だ。
ただ、ルルーシュにとっては結果が全て。今日の恋愛運は絶好調だったもよう。
・・・ただ、恥ずかしい台詞を連発し、
会長を初めとする生徒会のメンバーにからかわれることになったのは言うまでもないだろう。
あとがき
相互リクしてくださったつばさ様に捧げます・・・!!
改めまして、相互リンクありがとうございます!
初めてサイト様に伺ったときから『なんて素敵なサイト様だ・・・!!』と絶賛しておりました(笑)
とくにルルーシュの夢が素敵で家でゴロゴロニヤニヤ(やばいぞこいつ)しながら楽しませてもらってました。
・・・で、本題のリク夢なのですが・・・
きゃーー!(スライディング土下座)甘夢ということでしたのにただの馬鹿夢になってしまいましたーーー!!(最悪だ)
ルルーシュもキャラが壊れてしまったし・・・あんな挙動不審キャラじゃないですよね(遠い目)
すみません!!遅くなってしまった上にダメ文を押し付けてしまいます・・・(汗)
最後になりましたが、(あ、無理矢理話し変えやがったなこいつ)
これからも管理人共々『夕凪 風神』を
どうぞよろしくお願いします。
紅月 世季
世季さま、こんなすばらしい夢ありがとうございます。
そんな馬鹿夢なんて全くそんなことございませんよ!!
期待以上の作品ですv
こんなルルもまた一段と魅力的ですよねv(笑)
やっぱ彼女の前ではポーカーフェイスは崩さないとですねww
オマケも…ルルは以外なとこに敵がいましたねw
最後に出てきたスザクも可愛いですしww
私も学園祭ルル夢頑張って書いておりますので(講義中にw)、楽しみに待っていただけると嬉しいです。
ではでは〜。
-----20070410-----
―オマケ―
「・・・そういえばは何で一緒に帰れないんだ?」
浮気の可能性は消えた。だが自分以外に彼女にとって優先すべき用事がある事が心底憎たらしかった。
「あぁ、アーサーのご飯買ってこようと思って。なかったんだ〜さっき見たら」
「・・・!!!!」
『恋人に浮気の疑惑あり』
・・・それか!!!
「?変なルルーシュ」
翌朝、アーサーにちょっかいをだして引っ掻かれるルルーシュの姿があったとかなかったとか。
「ルルがアーサーに引っ掻かれるなんて珍しいね」
「本当本当。いっつも僕が噛まれたり引っ掻かれたりするのに・・・アイタッ」
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