「っ…はぁっはぁ……」

人ごみの中を走り慣れていないルルーシュが懸命に走っていた。

「くそっ…こんっ…な、日にっ…限って、なんっ…で、事故っ…なんっ、だ…よっ……はぁっ」

そう、ルルーシュが今日通って行こうとした道が事故があったため封鎖され、通れなくなっていたのだ。
そのため、目的の場所へ向かうにはかなりの遠回りの道しかなかった。
タクシーを使おうにも運悪く通らなかった。

そのため今ルルーシュは一生懸命走っている。
どうでもいい約束事だったら、ルルーシュもこんなに一生懸命走ることなどないであろう。
電話して遅れると言えば済むことなのだから。
しかし、どうでもいい約束事ではない。
ルルーシュにとって大事な約束なのだ。

そう、ルルーシュにとって大切な子との約束……


「それっ…に、してっも…なんっ…でっ電話、にっ…出な、いんっ…だっ」

何度も電話してるのに繋がらない。
遅れたくないのに遅れそうで…。
ルルーシュは明日筋肉痛を承知で全力疾走した。



そして、約束の場所に15分遅れで着いた。

「はぁっはぁ…っ、どこ、だっ……」

ルルーシュはまだ息の整っていない状態でキョロキョロと探した。
と、噴水の周りにあるベンチに座っている大切な子、を見つけた。
ルルーシュは嬉しそうにの元へ歩む。

!…え……」

ルルーシュはその光景を見て驚愕した。









やきもち










今から少し前のこと―――




『ルル遅いなぁ…どうしちゃったんだろう……』

10分前にきたは時間になってもこないルルーシュを心配した。
ルルーシュが時間通りにこないのはにとって初めてのことであった。(いつもルルーシュが先にきている)
連絡しようにも今日に限って家に携帯を忘れてしまったのだ。

『どしよう…ルルに何かあったら……』

泣きそうになる。
と、そんなの前に軽そうな男2人組が現れた。

『カーノジョ、1人??オレたちと一緒に遊ばな〜い』

『うっわ、すっげぇ可愛い〜』

など、絡んできた。

『いえ、結構です。人を待っているので』

『わぉ、声もちょー可愛い〜』

『待ってる奴って男??可愛いキミを待たせるなんてヒドイ男に決まってる。
 だから、そんな奴ほっといて俺たちと遊んだ方がぜってぇ楽しいって』

そう言って無理矢理の腕を掴んだ。

『行こう行こ〜う』

勝手に話しを進め、引っ張っていこうとする。

『ちょっと、ホントに結構です!放してください!!』

がそう叫んでも放そうとはしない。
一生懸命暴れるがビクともしなかった。
いくら軍に入っていてナイトメアのエースパイロットであっても、所詮男の力には通用しないのだ。
周りの人間もただ傍観しているだけで助けようとはしない。
がもぅダメと思ったとき…。

『その子から手を放してくれませんか』

『あぁ!誰だぁ』

聞いたことのある声…はその声のした方を向く。

『っ…スザク!!』

そう、そこには幼馴染のスザクがいた。

『なんだぁ、お前!オレたちの邪魔すんじゃねぇよ!!』

『嫌がっている子を無理矢理連れて行くのはよくないと思いますが?』

『うるせぇ!!』

そう言って、を掴んでいない方の男が殴りかかってきた。
いきなりのことだったが、さすがはスザクと言ったところだろうか。
ヒョイと男のパンチをかわし、足を引っ掛けた。
男は派手に前にこけた。

『キサマぁ!!』

それを見てもう一人の男がから手を放し殴りかかってきた。
するとスザクはその男の腕を掴み、男の勢いを利用して一本背負いをした。
あっという間のことに投げられた男はポカンとした。
そしてワナワナと震え起き上がった。
また、殴りかかってくると思い身構えた。と、

『くそっ覚えてろよっ!!』

そう言って2人は走って去っていった。

『はぁ?』

そんな2人組にスザクはポカンとした。

『スザク!』

の声でスザクはハッとし、その声の方を向いた。

!大丈夫?怪我はない??』

『うん、スザクのおかげで。ありがとうスザク』

幼馴染に助けてもらってホントに嬉しそうに微笑んでいた。
スザクはそんなの笑みを見てホッとした。



『それにしてもどうして1人でいるんだい?』

2人は噴水周りにあるベンチに座って話していた。

『あっ!そうだ…ルル!!スザク、ルル知らない??』

さっきのことのせいですっかり忘れていた。

『ルルーシュ??ルルーシュなら……あ、ルルーシュ!』

『え?』

スザクが見ている方へとも目をやる。
そこには驚愕の顔をしたルルーシュがいた。










そして冒頭に戻る…。

…」

――どうして…どうしてアナタはそんな悲しそうな顔をしてるの……。

ルルーシュがすごく悲しそうな顔をしているのは見てわかる。
すると、ルルーシュはいきなりたちがいる方向と別の方向へと走り出した。
それを見て、もスザクもビックリした。

「ルルーシュ!?」

「待って!スザクごめんね!!助けてくれてホントありがとう」

そう言ってルルーシュが走った方向へとも急いで走っていった。
残されたスザクは本日2度目のポカンとした。





「ルル、待って!」

やっと追いついたはルルーシュの腕を掴んだ。
運動神経のいいは、先に行ったルルーシュに追いつくのは簡単だった。
ルルーシュは男として好きな女の子より足が遅い自分に嫌気が差した。

「なんで…追いかけてきたんだ……」

ルルーシュの言っている意味がわからなかった。
追いかけてはだめだったのだろうか…。

「スザクといればいいだろ!」

「なんで??ルルとデートする約束したのになんでスザクといないといけないの」

「楽しそうに話してたじゃないか!!」

「幼馴染と楽しそうに話して何がいけないの」

「何回も電話したのにとらなかったのはスザクと話していたからではないのか!」

「違うよ!携帯家に忘れちゃったの」

「っ…こんな体力のないオレなんかよりもスザクの方がいいんだろ……」

――なんで…なんでそんなこと言うの……。

ルルーシュはが何も言わないのが気になってを見る。
の顔を見てルルーシュはギョッとした。

大粒の涙をキレイな真紅の瞳から流していたのだ。

「オレなんかって言わないでよ…ルルはルルでいっぱいステキなところあるじゃないっ……」

悲しくなった。
ルルーシュが自分のことを卑下していることに…。

ルルーシュは慌ててを抱き締めた。

っ…すまない!ホントにすまなかったっ…」

ルルーシュは自分の発言に後悔した。
悲しませるつもりなんてなかったのに…ただ笑っていてほしかっただけなのに…。


「…私ね……ルルが好きだよ。ルルがルルだから好きなの……」

いきなりの言葉にルルーシュは驚きを隠せなかった。
想いを寄せている子が自分のことを好きなんて。

はスザクのことが好きなんじゃないのか?」

そう、ルルーシュはが好きなのはスザクだとずっと思っていた。
だからさっきの光景を見て余裕がなかったのであろう。

「スザクも好きだよ…でもルルーシュとはまた違う好きなの……」

そう言って顔を赤らめ、恥ずかしそうにルルーシュの胸に顔を埋める。
そんなが可愛くて愛おしかった。

「オレものこと愛してる…始めて会ったときからずっと……」

「えっ…」

ルルーシュの言葉にびっくりして顔をあげる。
と、ルルーシュの顔が近づいてくる。
咄嗟のことに目を瞑ってしまった。

「っ…」

唇に暖かく優しい感触…。
それは一瞬ですぐに離れていく。

は顔を真っ赤にした。

、可愛い」

ルルーシュがの顔を見て嬉しそうに言う。

「ル、ルルー!!」

恥ずかしくなってルルーシュから離れようとした。
が、ルルーシュが放そうとしなかった。

そして、また唇が重なった。
それは先程のとは違い、深く甘いものだった…。











「ルルー、なんでさっき走って逃げたの??」

2人は喫茶店に入りお茶をしていた。
そこでは先程のルルーシュの行動に疑問があったため聞いた。

「なんでって…さぁ、なんでだろうな」

「教えてくれてもいいでしょー。なんで〜」

『好きな子が他の男といてやきもち妬いたなんて本人に言えるわけがないだろうが』

ルルーシュの苦労は続く…。






































あとがき

 はい、やっとルル短編書けました。
 なんか途中でスザクが出張ってますが…。(笑
 これは列記としたルル夢なので。w

 ルルにやきもちを妬かせたかったので書いちゃいました。w
 この子も連載主人公です。

 これを書いていて思ったこと…。
 私、乱闘シーン苦手です…。
 表現力がなくて申し訳ない。
 しかもベタな男2人組…。

 待ち合わせ場所がルルからして遠いのは主人公に合わせているからです。
 主人公は寮に住んでいないため、主人公の家から近い場所を待ち合わせ場所にと。
 反対したのですが、ルルが許さなかったと。
 体力ないのに可愛い主人公のために頑張るルルくんでした(笑

 ここまで付き合っていただきありがとうございます。
 またまた下にほんのチョコっとオマケが…。
 報われないスザクのお話です。w
  -----20070320-----












































―オマケ―

「はぁ…、ルルーシュと約束してたんだ……」

好きな子がルルーシュを追いかけて走っていったのを見てスザクはしょんぼりと肩を落とした。
それは捨てられた子犬のように見えて…。

――ニャァ

と、スザクの足元に子猫がいた。
それを見てパァっと明るくなったのが見てわかる。

頭を撫でようとしゃがみこみ手を伸ばしたそのとき…。

――かぷっ

「……」

それはいつもと同じ感覚で…。





ネコにもにも振られた可哀相なスザクが子猫に噛まれながら街中を座っていた。






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