それは土砂降りの雨の日のことだった。

「ぁ……」

そんな中、はとあるモノを見つける。









新しい家族










本日は土曜日。
学校が休みなのにも関わらず、雲雀は登校していた。
そして、用を終えたのか、土砂降りの雨の中家へと帰る。
愛しい人が待っている家へと…。



家に着き、雲雀はバタンと戸を閉めた。
それと同時に声がする。

「恭弥さん、おかえりなさい」

愛しい人、が浴室からひょっこりと現れた。
土砂降りの雨で濡れたため、シャワーでも浴びていたのであろぅ、髪の毛が仄かに湿っているのがわかる。

雲雀は照れくさいのかボソッと「ただいま」と言う。

「恭弥さんずぶ濡れじゃないですか!?大丈夫ですか」

そぅ言って、慌ててバスタオルを持ってきて雲雀をそれで包む。
すっかり冷え込んだ身体にフワッと温かいぬくもりに包み込まれ、雲雀は気持ちよさそうに目を細めた。

「お風呂入れてありますから入ってきてください」

「キミは一緒に入ってくれないの?」

そぅ雲雀が言った途端、の顔が真っ赤になった。

「もぅ、からかわないでください!それに私はつい先ほど入りましたし…」

「お風呂は何回入ってもいいものだよ」

雲雀はに迫る。
はワタワタと焦るが、雲雀から逃げられない。
どうしようと思ったそんなとき…。



「みー」

浴室の方から小さく可愛らしい鳴き声が聞こえた。

「ぁ…忘れてた」

そぅ言って、は今の鳴き声で緩んだ雲雀からスルリと抜け出し、浴室の方へと入っていった。
そしてすぐに浴室から出てきたが手にしていたものは…。

「……ソレどうしたの?」

「ぇと…雨の中捨てられたみたいで……可哀想だったので連れてききゃいました」

雨の中連れてきたソレ、鳴き声からしてわかるであろう、が大事そうに抱えているモノ…。
それは子猫であった。
「みーみー」と鳴くその愛らしい生き物に彼女、はメロメロであった。
そんなを見て、雲雀は少しむっとしてしまう。





風呂からあがってきた雲雀は、リビングのソファに座り込んだ。
目の前にはと子猫が戯れている姿が見える。

「ソレどうするつもり?」

「ぇ?」

はきょとんとした顔をしていた。
雲雀の言っていることが少し分からなかったようだ。

「その猫…どうするつもりなの?」

「ぇと…飼おうかと思っているんですが……」

「ダメだよ」

飼うと言ったの言葉に対して雲雀は即答した。
今まで雲雀にそんなことを言われたことがないは驚いた顔をしている。

「何故ダメなのですか?」

「理由なんてないよ」

雲雀は冷たくあしらうだけだった。
理由はある。
が、それを雲雀は言うつもりはないようだ。

「飼ってはダメって…このコはどうなるんですか?」

「さぁ?ボクには関係のないことだよ」

は戸惑った。
雲雀にこんな風に対応されたのは初めてだからだ。

「そんな…まだ小さいのにこんな雨の中放り出すなんて可哀想です……」

「……」

雲雀は無言だった。
そして一言言い捨てる。

「早く捨ててきなよ」



が何か言い返してくるかと思ったが、何も反応がないのに不思議に思ったのか雲雀はちらりとを見た。
「やってしまった」と、雲雀が思ったときには時既に遅し…。
の瞳からぽろぽろと大粒の涙が流れていた。

「っ…なんで……そんなこと言うんですか……。
 そんな恭弥さん…嫌いです」

そぅ言っては子猫を抱えて走って自室に入っていった。
ガチャリと鍵を閉める音が聞こえる。










は自室でグスッと泣きながら先ほどの雲雀のことを考えていた。
雲雀にあんな風に言われたのは初めてである。
自分が雲雀に嫌われるようなことをしたのかを考えるが思いつかない。
「うーん」と考えているの元にコンコンとノック音が聞こえた。

「…はい」

「いつまで部屋にいるつもり?お腹すいたんだけど」

そぅ言う雲雀の口調は先ほどと打って変わって、いつもの口調に戻っている気がした。
は不思議に思う。

「…猫ちゃんを飼っていいっていうOKがでるまで部屋から出ません」



「キミの好きにしたらいいよ。
 だから早く出てきなよ」

ガチャリと扉が開いた。
そこからヒョコッとが顔を出す。

「ホントですか??」

「ボクがウソをつくとでも言うのかい?」

その問いには首を横に振った。

「じゃぁ早く出てきなよ」










「今日の恭弥さんおかしいです…何かあったんですか?」

「…さぁね」

2人は晩御飯を食べていた。
の足元では子猫がミルクを飲んでいる。

「何もないのならいいんですけど……。
 ぁ、そぅいえば、猫ちゃんの名前決めましたよ」

「ふぅん…」

いつもどおりの態度の雲雀に気にすることもなくは話しを続ける。

「ヒバリです」

ガチャンと雲雀がお箸を置く。
少し顔が不機嫌そうだ。

「ダメでしたでしょうか…」

「ボクと同じ名前にしてどうするの」

「恭弥さんのことはもぅ雲雀さんとは呼びませんしいいかなぁと思いまして…。
 それにこの猫ちゃん恭弥さんにそっくりなんですもの」

優しそうに子猫を見る彼女にもぅダメとは言えず、雲雀は折れた。

「…別にいいんじゃない」

「ありがとうございます」

そぅ言ったの顔は本当に嬉しそうだった。

「これからよろしくね、ヒバリ」

「みー」

こうして、新しい家族が増えたのだった。






































あとがき

何かビミョーになりました。
甘めにしようかなと思ったのですが…今回はほのぼので。
最初雲雀さんに嫉妬させようと思ったものの難しく断念。
上手くいきませんねー。

この話は原作よりももっとあとの話です。
そしてヒバードはまだいません(。-`ω´-)
日常編が終わるころでしょうかね…。
曖昧です。

ぁ、雲雀さんが最初ダメって言った理由はわかっているかもしれませんが猫に嫉妬したためですw
でも、それを文に出来ずこんなとこで公開。
文才がほしいと思いますね…。

そして、最近困ったことがもぅ1つ…。
タイトルが思いつかない。爆
ホント困りますね…。

まぁ、そんなこんなで失礼しました。

  -----20081118-----












































―オマケ―

「アラ?」

ヒバリが家にきてから数日後。
が洗濯物を干して、ベランダから家の中に入ったときあるモノを目にする。

「ふふっ…なんだかんだ言って、恭弥さん動物好きなんですよね」

は静かに自室からタオルケットを持ってきて雲雀にかけた。
ヒバリと仲良さそうに寄り添って寝ている彼に…。





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