――――――イタリア



キィっとドアの開く音が静かな酒場に響いた。
そこにはスーツ姿の帽子にカメレオンを乗せ、胸元に黄色いおしゃぶりをさげた不思議な赤ん坊が立っていた。

「リボーンか…またオヤジに呼びだされたようだな」

「人気者はつれーなー。今度はローマか?ベネチアか?」

その赤ん坊、リボーンに酒場にいた2人の男が話し掛ける。

日本(ジャッポーネ)だ」

「!!」

「なに!!」

リボーンの言葉に2人はビックリし、リボーンの方へ振り向く。

「あと、も行くみたいだ」

「なっ!?"真紅の舞姫"まで!?」

「オヤジのヤツ、とうとうハラ決めやがったのか」

「長い旅になりそうだ」









標的1 イタリアからやってきたアイツ










「ここが並盛中……沢田綱吉さん…どんな人なのでしょうか……」

そう言って1枚の写真を片手に校舎へと入っていった。






―――――1−A



「先生に先に教室に行っておいてくれと言われたけど…普通転入生に対してコレはないでしょ……」

そう言って1−Aのクラスの前に立っているこの人物、格好や声色からして男にも見えないことはないが、 とある理由で男装をしているだけの列記とした女の子である。
彼女の名は
此度ボンゴレ9代目の命(お願い)により日本にやってきたのだ。


「先に教室に入ってていいのかな……」

「う〜ん」と顎に手をやりながら悩んでいるはふとたくさんの視線を感じそちらにバッと目をやる。

「キャッ!どうしよう、目があっちゃったぁv」
「ねぇねぇ、あの子かっこよくない?」
「かっこいいって言うか…可愛いv」
「転校生かな?初めて見るよねぇv」

登校してきた女子生徒の視線がに集まっていたのだった。

『アラ?私注目されてる……?…女ってことバレたのでしょうか…』

彼女たちの会話は全く聞こえていなかったようだ。

『ここにいても何故だか知りませんけどジロジロ見られますし…もぅ、中に入っちゃいましょう!!』

そう言って、ガラガラっと教室の戸を開ける。



が教室の戸を開けたことにより、ガヤガヤとうるさかった教室が急にシーンと静まり返った。

『何故急に静かになったのでしょうか…どうしましょう、いづらいです……』

いづらくなって教室の外へと引き返そうとしたその時、何者かが腕を掴み引きとめた。

「お前ってアレだろ?ウワサの転校生。こんな女っぽいヤツとはなー、ははっ」

笑顔でそう言いながらの肩に手を回した。
いきなりのことでも呆けている。

「わりーわりー、いきなりでビックリしたよなっ。オレは山本武ってんだ、よろしくなっ」

「あ、あぁ。ボクは。ヨロシクね、山本くん」

ニコッと微笑みながらそう言う。
すると、バッといきなり山本がの肩から手を放した。
心なしか山本の顔が紅い。

そんな山本を余所にワーっと、クラスの皆がの周りへと一斉に集まってきた。
その輪から外れるように、山本は1人、教室の隅へと行く。

「っ…アイツホントに男か」

顔を真っ赤にさせながらそう言った。
その言葉は誰にもきかれることはなかった。





学校のチャイムがなり、午前中の授業が終わる。
も明るく人が良い性格からかクラスに溶け込んでいた。

『おかしいですね…同じクラスのはずですのに……今日は休みなのでしょうか』

まだ見ぬ時期ボンゴレ10代目のことを気にしていると…。

「パンツ男って今日こないのかねぇ…」

「…パンツ男??」

はそれが何か山本にでも聞こうとしたその時、ガラっと教室の戸が開いた。
皆の視線がそちらへと向く。


「パンツ男のおでましだー!」
「ヘンターイ」
「電撃告白!」
「持田センパイにきいたぞーっ」

クラス中が騒がしくなった。
はそのウワサのパンツ男を見て唖然とする。

「ぇ…」

「めいっぱい拒絶されたんだってなー」

笑い声やバカにする声がクラスに充満していた。
ツナはその場にいるのが耐えられなくなったのか教室の外に出る。
するとそこには剣道部が待ち構えていたらしく、ツナを連れて行ってしまった。
それを皆はおもしろそうについて行く。

『まさか沢田綱吉さんが変態だったなんて…ん?パンツ…??もしかして……』

くんも一緒にいこ〜♪きっとおもしろいよぉ」

そう言って数名の女子がの腕を掴んでツナのいる道場へとつれていった。





道場は人で溢れかえっていた。

「きやがったな、変態ストーカーめ!! おまえのようなこの世のクズは神が見逃そうがこの持田がゆるさん!!成敗してやる!!!」

胴着を着て、竹刀を持った男、持田がツナに向かってそう言う。

『…ちょうどよかったですね……これで沢田綱吉さんがどれほどのものか観察できますし』

がそう思っている間に話はどんどん進んでいたらしく、次の持田の一言ではムッとなる。

「賞品はもちろん、笹川京子だ!!!」

京子を竹刀で指しながらそう言った。

『…最低な男ですね……ああいう方はキライです……』

ふと、ツナの姿がないことに気付いた。
持田も気付いたようで剣道部員の1人に聞く。

「む?沢田は?」

「トイレにいきたいというのでいかせました」

「逃げたな…あいつトイレ逃走(エスケープ)多いから」
「まちがいない」
「ったく、ダメツナはよーっ」

クラスの男子たちがそう言っていた。

「なっなんだと…!」

それを聞いた持田はというと…。

「これで不戦勝だ!!京子はオレのモノ!!」

そう言いながらギャハハと笑っている。

『…沢田綱吉さんには失望しました……9代目、彼にはあとが務まらないですよ』

そう思いフゥっとため息をつきながら、は持田の前へと出る。



「む、なんだキサマは」

「女の子を賞品扱いするのはどうかと思いますよ」

いきなりのの行動に皆びっくりしていた。

「見ない顔だが…そうか、おまえが今日転入してきたヤツだな」

「はい、と言います」

丁寧に深々とお辞儀をする。
周りでは黄色い声があがっていた。

「(くっ…キレイな顔のヤツだな)では、。どういうつもりでオレの前に出てきた!まさかお前が変態ストーカーの代わりにオレと勝負するとでも言うのか」

「そのまさかです。ボクが沢田くんに代わって持田センパイと勝負します」

「ギャハハハ、その細っこい身体でオレと勝負しようっていうのか」

「人を外見で判断しない方がいいですよ」

そういうに対して、持田はまたギャハハと笑う。
そんな持田を気にせずは構えた。

「ぶっ!素手でオレとやりあうつもりか」

そんなを女子はハラハラとしながら見、男子は「やれー!」とおもしろそうに見ている。

「それでは、お願い…っ」

はそのときある気配に気付く。

「クックックッ、今更になって怖気づいたのか」

「いえ、それはありえません…ただ、彼が戻ってきたみたいなんで」

そう言っては元の観客席に戻る。
持田を含めた皆は「彼ってダレ?」っと不思議に思っていた。
と、その時ダンッと道場の扉が力強く開いた。
それと同時に……。

「いざ!勝負!!!」

「なっ」

皆、その入り口に立っている人物に驚いてる。
1人の人物を除いて。

『やはりアレは死ぬ気の炎…そういえば、リボーンさんも日本にくると言ってましたね』

そぅ、そこにいたのは先ほど逃げた沢田綱吉であった。
が先ほど言っていた「彼」というのもツナのこと。
皆ツナが帰ってきたことにも驚いていたが、もぅ一つ別のことにも驚いていた。

「うおっ」
「ヘンタイだ!」
「キャー、やだーっ」

そぅ、死ぬ気モードのツナはパンツ一丁なのだ。

『あの格好は気になりますが…一応沢田綱吉さんの力が図れますし、気にしないでおきましょう』

は静かにツナを見ていた。
死ぬ気のツナは強くて、持田が手加減せずに振り下ろした竹刀を頭突きしてそのまま持田の頭に喰らわす。
そんなツナを道場にいた皆、唖然として静かに傍観していた。
持田は頭突きの衝撃で後ろに倒れ、その上にツナが乗る。

「マウントポジション!?」
「何をする気だ!!?」

皆ツナの行動が読めなかった。
するとツナがサッと右手を上に掲げた。

「手刀だっ」
「面を打つ気だ」

「ぅおおぉっ」

ベリっと音と共に「ぎゃっ」と鈍い声が聞こえた。

「!?」
「……!?」

しーんとしている中、1人だけ違う反応をしていた。

「ふっ…くくくくっ」

「100本!!!とったーっ」

そう言ってツナの右手にはごっそりと持田の髪の毛があった。
はツナのその行動を見て笑っていたのだ。
すると少しの間をおいてどっと皆も大笑いし始めた。

「考えたな、ツナの奴」
「確かに何を一本とるかは言ってなかったもんな」

『ふふふっ、まさかあんな行動とるとは思わなかったです。沢田綱吉さん…面白い方です』

はそう思いながら、決着がまだついてないのに道場から出ていった。





「リボーンさん、いるんですよね」

「ちゃおっス。さすがだな、

の後ろにリボーンが立っていた。
リボーンの方へと身体を向ける。

「お久しぶりです、リボーンさん」

「久しぶりだな、元気そうで何よりだ」

リボーンの姿を見て笑顔になる。

「沢田綱吉さん…中々やりますね」

がそう思うとはな」

ニヤリとリボーンは笑う。



「それはそうと、なんでそんなカッコしてるんだ?」

そう指差して男装しているに言う。

「言わなくとも、リボーンさんにならわかるはずですよ」

そう言ってはリボーンに背中を向け、再び歩き始めた。



…お前を必ずオレの育てた10代目ボンゴレファミリーの一員にするからな」

その言葉はの耳には届かず…。






































あとがき

 完璧マンガの原作沿いです。
 長々とここまで読んでくださった方々ありがとうございます。

 そして、ヒロインが主人公のツナに一回も絡んでないと…。
 申し訳ない…。
 遅れてきたツナが悪いんですよね。爆
 代わりに1話から山本登場www
 雲雀さん寄りなため、近々出しますw

 1話でツナいつごろ登校したのでしょうか…。
 なんか登校してすぐ道場って…。
 みんな授業は?みたいなことになるので、管理人の独断と都合で昼休み登校にしました。
 まぁ、原作沿いなため何かと変なところありますが気にしないでいただけると嬉しいですw
 では、2話もどうぞよろしくお願いします。

-----20070810-----





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